ずっと座っていたい椅子敷と民藝旅気分【抽選】

「このふわふわ、たまらないでしょ！？」

椅子敷「○○ノッティング」とは

日本の生活様式に洋風のものが入ってくるようになった約70年前に外村吉之介氏（※1）によって考案・指導され、以来この民藝の土地で伝承されてき民藝品です。その字の通り椅子用の座布団で、ノッティングという結び織りの技法で作られています。見た目もおしゃれですが、たっぷり使われる毛足の長い糸が、椅子の冷たさや硬さからわたしたちを守ってくれます。

この椅子敷、みんなに座って欲しい

この椅子敷は、この国分さん企画がうまれるきっかけともなったキーアイテムです。
国分さんが数年前にとある催事場で出会ってすっかりとりこになってしまい、番組ロケを熱望。現地を訪れた際には自宅用にも買い増しされたそう。
今回、おうちソクたびのプランを企画するにあたってはぜひこのアイテムを紹介したいと、いわば持ち込み企画でのプラン作りが始まりました。

どの椅子敷を選ぶ？

国分さんが大好きなアイテムを TOKIO to Orange で紹介するにあたってはデザインも手掛けさせていただくことに。さらには長年作られ続けてきた図案を紹介したい気持ちも抑えきれず、2種類を販売することとなりました。

オリジナルデザイン、むずかしい！

オリジナルデザインは「TOKIO」や TOKIO 「to」 Orangeの「Ｔ」がモチーフです。「to（～から、～と）」への想いも込めて「Ｔ」や「＋」を、○○ノッティングの良さを損なわずに図案化できるよう試行錯誤。
いくつもラフデザインを書いて、図案に起こしていただいて、向きや配置、余白などにも気をつけて…作り手の方々にもたくさん協力していただいてオリジナル版が完成しました。

パターンと配色は、これで！

次はパターンと配色選び。長年作られ続けてきた基本のパターンの椅子敷も紹介したいと、何十種類もある図案を見比べて、これぞというものを選んだ国分さん。
くるくる回るかざぐるま風のパターンに、少しずつ色合いが異なる色も見比べながら2色を選んでバターン配色指定版も完成しました。

椅子にもソファにも床にも敷きたい

もともとは木製の椅子用に考案された椅子敷ですが、使う場所を椅子だけに限定してしまうのはもったいない。椅子でもソファでも床への直置きで座布団として使っても、心地良く座ることができます。
しっかりと撚りをかけたウールの糸がたっぷりと使われていて、耐久性の高さも折り紙付き。
現地ではほかの民藝品の作り手さんたちの作業場や民藝品店などでもいたって普通に使われていて、中には50年、60年と使われてきたものまでありました。

実際に座ってみると

やわらか過ぎず、かた過ぎない第一印象で、ずっと座っていても特に気になるところがありません。良い意味で特別感はなく、ずっとここにあったようなまさに「日常のもの」という椅子敷です。

今回お届けするものは普段からよく作られている標準的な大きさの40cm×40cmです。
おしりや太ももが接する部分だけでなく、横や後ろにもゆとりがあることによって、椅子敷にしっかり包み込まれているような座り心地に。

気がつくと座りっぱなしになってしまうこともある仕事中にもおすすめです。デスクチェアにも敷いてみてください。考え事をしながら、椅子敷の毛並みを撫でていることもしばしば。

座るたびにだんだん毛足も落ち着いて、生活の一部になっていきます。ずっと一緒に過ごして、何十年と使われてきたもののように暮らしに馴染ませていきたい椅子敷です。

ちなみに国分さんは

主には馴染みの良い木製のチェアに敷いての使用をされているとのこと。
座り心地が良いという使用感はもちろん、飽きがこなくてインテリアの邪魔にならないデザインの優秀さもあいまって、数年前からずっと使われているそうです。

椅子敷が織って結んできたもの

「ノッティング」という技法

ウールやコットンの糸を結び織りしていく「ノッティング（結ぶ：knot + ing）」と呼ばれる技法。ペルシャ絨毯なども同じ原理で作られているこちらの技法が、外村吉之介氏によってこの土地にもたらされ「○○ノッティング」となったのは70年ほど前。1953年に外村氏は、共同作業をしながらノッティングを教えるための研究所を創立し、ノッティングの技法を通じて技法だけにとどまらない生活の教えを伝承してきました。

それからずっと、流行りや廃りとは関係なく、人の生活に寄り添って作り続けられています。

結ばれ続けてきた技術

現在、指導を引き継がれているのは石上梨影子さん。毎年この研究所には全国から生徒さんが集まり、約一年にわたる共同生活を送りながら独り立ちできるまでの技術を学ばれるそう。卒業後は各々ご自身の生活に戻って制作を続けていらっしゃいます。

この椅子敷を織っていくには、染められた糸1本1本を160本に束ねまとめるといった糸の用意や織機へのセッティングなど、細かい作業が膨大にあります。

糸の色は、独自の色に染められたもの。その糸には長持ちするよう丁寧に撚りがかけられ、日常でずっと使える丈夫な椅子敷が作られていきます。

こういうところも知ってほしい

結び織りの織機は縦型。織機に張られた糸に、160本で一束になった色の糸を結んでいきます。

糸の色を選ぶときは、ノッティングの場合は糸の側面ではなく上から断面を見ます。
織り結んだ糸を切った断面が椅子敷の表となるため、上から見て完成品の色のイメージを掴むそう。確かに上からと横からでは微妙な違いがあります。

染められ束ねられた糸を結んでは切っての繰り返しで1枚のノッティングが完成します。

品質だけではない、この椅子敷の魅力

「敷くときに上下が決まってしまうものは、○○ノッティングの図案にはない。」

こちらの椅子敷は、使うひとの日常のなかで制限なく使えることを大切に、これまでも常に前後左右を気にせず好きな向きで置けるパターンで作られてきました。
いまも使われている基本の図案は何十種類もありますが、その全てが洗練されたデザインのために、流行にとらわれることなく70年繰り返し作られ続けています。

「ユタケク織ルヤ貧シサヲ」

研究所の第一期卒業生に民藝運動の祖である柳宗悦氏が贈った言葉で、手書きの書が研究所に掲げられています。 糸がふんだんに使われ、ふわふわの椅子敷ですが、もともとは織物の余り糸を活用して作られはじめたそう。いまでも糸は無駄にせず手間は惜しまず、作られています。